びゅんびゅんと耳元で風を切る音が響く。黒い水晶が映した座標は、しっかりと頭に刻み込んでいる。だからアリギュラは、流れる景色には目をくれず、まっすぐに目指す場所を見据えて空を駆ける。 (待っておれよ、メリフェトス! わらわが着くまで、死ぬのは許さぬからな!) アリギュラはそのように、胸の中で強く念じたのであった。