「悪いが遠慮しておくぞ。おぬしたちが一緒だと、『覇王の鉄槌』を思い切りブチ落とすことが出来ぬからな」
「そんな!」
「けど、ひとりで行くだなんて……」
「安心しろ。わらわを誰と心得る」
食い下がる『まほキス』のメンバーをぴしゃりと一括。そしてアリギュラは、満面の笑みで小さな胸を叩いた。
「我が名はアリギュラ。故郷アーク・ゴルドから召喚されし覇王。そして、この世界に君臨せし、最強の聖女じゃ!」
ふわりと、音もなくアリギュラの体が浮かぶ。黒髪をなびかせ、まるで天使のように両手を広げて浮かびながら、アリギュラはらんらんと目を輝かせて彼らに告げた。
「必ずメリフェトスを連れて帰る。おぬしらは城で、祝宴の準備をして待っておれ!」
その言葉を最後に、アリギュラは空を蹴った。