「メリフェトス殿が無事だという保証は? 預かり手を返してほしければ。確かに、メッセージにはそう書いてありましたよ。ですが、相手が約束を守る義理はどこにもない。むしろ、忌まわしい聖剣をうちに宿した彼を、早々に始末したと考えたほうが自然では……」

「メリフェトスは生きている!」

 ルーカスを遮り、アリギュラはぴしゃりと告げた。決して叫んではいないのに、凛と通る強い声。ルーカスのみならず、ほかの攻略対象者たちも口をつぐむ。

 艶やかな黒髪が、ふわりと風に揺れる。

 アリギュラはまっすぐに彼らを見返し、繰り返した。

「メリフェトスは生きている。あやつはあれで、意外とタフでな。何度か死にかけたところを見てきたが、そのたびにしぶとく生き延びてきた。ああ、そうだ。わらわの右腕が、そんなに簡単にくたばってたまるものか!」

 太陽の光が、さんさんと降り注ぐ。紅い瞳をきらきらと輝かせて、アリギュラは断言する。