どういう経緯があって、彼女がメリフェトスを聖剣の預かり手に選んだのかは知らない。けれども、アリギュラは特別といってもいいほど、あの神官を信頼しているように見える。
パーティの時にふたりが披露した剣舞にしてもそうだ。とてもじゃないが、彼女がこの世界に召喚されてからの短い月日の中で築かれたとは思えない。そんな深い絆が、アリギュラとメリフェトスの間には流れているのを感じる。
そんな相手を目の前で奪われ、アリギュラはさぞ胸を痛めていることだろう。そのように心配して、キャロラインは胸の前で手を握り合わせる。
よく見れば、アリギュラの肩は小刻みに震えている。小さな白い手の強く握りしめられていて、内心の動揺が窺えるようだ。
召喚されて早々、魔獣の群れをひとりで下す。そんな伝説的な強さを誇るアリギュラだが、中身は自分と変わらない年頃の少女だ。そんな彼女の悲痛をおもんばかり、キャロラインは友として、アリギュラにそっと寄り添おうとした――。
の、だが。
「……な……が……」
「なんですか、アリギュラ様?」
ぼそぼそと呟いたアリギュラに、キャロラインは触れようとしていた手をぴたりと止めて彼女に聞き返す。
パーティの時にふたりが披露した剣舞にしてもそうだ。とてもじゃないが、彼女がこの世界に召喚されてからの短い月日の中で築かれたとは思えない。そんな深い絆が、アリギュラとメリフェトスの間には流れているのを感じる。
そんな相手を目の前で奪われ、アリギュラはさぞ胸を痛めていることだろう。そのように心配して、キャロラインは胸の前で手を握り合わせる。
よく見れば、アリギュラの肩は小刻みに震えている。小さな白い手の強く握りしめられていて、内心の動揺が窺えるようだ。
召喚されて早々、魔獣の群れをひとりで下す。そんな伝説的な強さを誇るアリギュラだが、中身は自分と変わらない年頃の少女だ。そんな彼女の悲痛をおもんばかり、キャロラインは友として、アリギュラにそっと寄り添おうとした――。
の、だが。
「……な……が……」
「なんですか、アリギュラ様?」
ぼそぼそと呟いたアリギュラに、キャロラインは触れようとしていた手をぴたりと止めて彼女に聞き返す。