「人間が好きかと言われれば、いまだに嫌いです。ですが、私が憎いのはアーク・ゴルドの人間です。どうやらこちらの世界には、ステータスや、ステータスを上げるための魔族狩りといった概念が存在しないようですし」

「それはまあ、そうだが」

「もちろん、それはそれとして、我が君が連中とつるむことに、思うところがないわけではありませんが」

 軽く茶化したように、メリフェトスが笑う。たったそれだけのことなのに、パーティの夜の、赤面して黙りこくってしまった彼の姿を、アリギュラに思い出させてしまう。

 とくんと、心臓が跳ねる。動揺を悟られないように、アリギュラはあえてにまにまと笑い――探りを入れた。

「それはあれか。嫉妬してしまうからか?」

「さあ。どうでしょうね」

 対して、メリフェトスの反応はカラッとしたものである。平然と肩を竦めて見せる腹心の部下に、アリギュラは人知れず唇を尖らせる。