「は? 自分が『まほキス』の世界に馴染みすぎている気がする?」
サンドイッチなど、あらかたの食べ物がなくなったころ。芝生に寝転んだり、近くの森を散策に出たりと銘々が好きに過ごしている中。
シートの上に座り、同じく隣に残るメリフェトスに相談を持ち掛ければ、メリフェトスはきょとんと瞬きした。
それに頷き、アリギュラは難しい顔をする。
「わらわ、魔王ぞ? アーク・ゴルドでは、人間相手にぶいぶい言わせていた魔族の王ぞ? いくら世界が違うからといって、穏やかな昼下がりに人間どもと楽しくピクニックとは。いくらなんでも、キャラ崩壊がすぎないか?」
「幸せそうにサンドイッチを頬張っていたくせに、随分今更なこと仰いますね……。あ、マフィン食べます? 今朝焼いてきたんですが、なかなか美味しく仕上がりましたよ」
「おぬしはおぬしで、その適応能力の高さはなんなのじゃ……」
美味しそうなマフィンが入ったバスケットを差し出してくる四天王の一人を、アリギュラは半目になってまじまじと見る。