「私、別の方を好きになってしまったかもしれませんわ!!!!」 「は……?」 かちんと、ジーク王子がその場で固まる。新たな恋に胸をときめかせる婚約者と、人波の奥に去っていった黒髪の聖女。頭の中でようやくその二人が結びついた時、ジーク王子はひゅっと息を呑んだ。 「きゃ、キャシー!?!?」 異界の魔王vs悪役令嬢。奇妙なドリームマッチの締めは、哀れな王子の悲鳴なのであった。