「なんにせよ、おぬしの悩みもこれで解決。よかったな」

「アリギュラ様……」

「さて、メリフェトスがこのざまだからな。わらわはそろそろ戻るとするぞ。ではな、キャロライン。今宵はなかなか楽しめたぞ」

 そう言って、ひらりと手を振ってアリギュラは背を向ける。そのまま、神官を伴って部屋に戻ろうとする背中を、キャロラインは思わず呼び止めた。

「先程はありがとうございました!!」

 そう言って、勢いよく頭をさげる。そんなキャロラインの熱が伝わったのだろう。立ち去りかけていたアリギュラが足を止めた。

 わずかに振り返り、赤い瞳がキャロラインを映す。そのまっすぐな眼差しに、キャロラインは戸惑い尋ねた。

「ですが、なぜ私にあそこまで……」

 キャロラインの聖女への態度は、お世辞にもいいとは言えなかったはずだ。初対面では名乗りもせず逃げ出してしまったし、今日だって、自分ではうちに秘めていたつもりの敵対心を見破られる始末。加えて、アリギュラにとってキャロラインを助けることにこれといってメリットはない。

 そう、疑問に思っていたのだが。