「私はこの国の王子、ジーク・ローエンベルンです。こっちは護衛のアラン・メリアークで、こっちは侍従のルリアン・キッドソンです」
(聞いとらんわ!!)
あわや口から飛び出しかかった全力のツッコミを、アリギュラは精一杯飲み込む。ジークと名乗った三人目のイケメンが、さらりとアリギュラの手を取ったからだ。
自ら王子と名乗ったくせに、ジークは何故かその場に跪く。唖然とするアリギュラ、ジークは潤んだ瞳で見上げた。
「貴女が、私達が長年焦がれてやまなかった救いの姫君……! 聖女様、お会いできて嬉しゅうございます」
「ひっ!?」
今度こそアリギュラは飛び上がった。ちゅっと音を立てて、ジークがアリギュラの手に口付けたからだ。