「ん? 王城でのパーティで糾弾?」

 まさしく目の前の光景ではないか。そう思ってメリフェトスを見れば、美形の神官は冷めた目をしたまま軽く肩を竦めた。

「おそらく『まほキス』内のイベントが、今日のパーティに置き換わっているのでしょう」

「じゃが、わらわはキャロラインに何もされておらぬぞ」

「パーティの頭から今まで、ずっとあの者と張り合ってきたでしょう。おそらく、それが嫌がらせの代わりに勘定されたのでしょうね。ごらんなさい。じきに、王子もくるはずですよ」

 メリフェトスの言う通りであった。

「何事だ!」

 騒ぎを聞きつけたジーク王子が、慌てた様子で人の輪に飛び込んでくる。蒼い瞳に戸惑いを浮かべた彼は、口をへの字にして静観するアリギュラ、顔色を失い座り込むキャロライン、非難がましく彼女を見つめる三人の令嬢を順に見る。

 その目がメリフェトスへと向けられたとき、王子は「え?」と瞬きをした。憮然とした顔をしたクリームまみれの神官を、さしもの王子も無視することができなかったらしい。