知的な青紫色の瞳をそわそわと泳がせ、メリフェトスは必死に考える。敬愛する我が君はなぜ、突然そんなことを言い出したのか。何をきっかけに、恋愛事に関心をいだいたのか。
そして、とある可能性に思い当たり、メリフェトスは顔を青ざめさせる。頭に血が上った彼は、とっさにアリギュラの華奢な両肩をがしりと掴んだ。
「どの男ですか!? どの者が、恐れ多くも我が君の心を奪いおったと!?」
「はあ????」
アリギュラは頓狂な声をあげるが、いまのメリフェトスにそれに気づく余裕はないらしい。カタカタと手を震わせながら、彼は何やらぶつぶつと低く呟き始めた。
「……どいつだ? 一番接点が多いのはジーク王子かしかしあの優男がアリギュラ様の求める強さを持っているとは思えないそういう意味で言えば第二王子もパスだならば騎士はそういえば先ほど酒を酌み交わしたとき我が君と盛り上がっていたな王子の侍従も切れ者という意味では怪しいさっきからこの辺をうろちょろしている王宮魔術師もそうだ接点はないが魔力量はほかの人間と比べてダントツそこにアリギュラ様が興味を抱いた可能性も捨て切れなくは……」
「お、おい。すごく早口で聞き取れぬぞ? あとおぬし、なんか怖いぞ??」
「くそ! こんなことになるならルートが確定した時点で他の攻略対象者はすべて排除しておくべきだったかいやいまからでもまだ遅くないとも……」
「メリフェトス!!!!」