密かに胸の中で立てたはずの目標を言い当てられ、キャロラインは動揺する。そんな彼女に、にたりと、アリギュラは悪魔のような笑みを浮かべた。
「人心掌握術はわらわのほうが上、じゃな?」
ぽんっ、と。キャロラインは頭の中が沸騰した。腕を組み、にたにたと笑う異世界からの聖女を、キャロラインはぷるぷると怒りに震えながら睨みつける。
つまりこの聖女は、キャロラインの狙いを知ったうえで、あえて派手な演出で皆の心をかっさらっていったわけで。
「ま、まだ、勝負はついていませんわ!!」
縦ロールを元気よく弾ませ、キャロラインはぴしりと聖女アリギュラを指さす。対するアリギュラは、興味深そうにさらに笑みを深くした。
「ほーう? まだ何か策があるのか?」
「そ、そうですわ! 私、今日のために、あれもこれもたくさん準備してきたのですわ!」
「それは面白い。さすが、わらわが見込んだ娘じゃ」
若干気になる一言が聞こえた気がしたが、キャロラインはそれにかまっている場合ではなかった。血の色のような赤い瞳を細めて、アリギュラがにやりと言い放ったからだ。
「楽しもうぞ、人間。われらの勝負、続行じゃ!」
「望むところですわ!!!!」
果たして、悪役令嬢VS異世界の魔王。奇妙な戦は、第二ラウンドへと突入した。