呆気に取られて、キャロラインは口をパクパクとさせた。なんだ、今の演説は。あれではもはや聖女ではなく、兵の指揮官だ。いや。むしろ王だ。圧倒的な覇王だ。
そのように思ったのは、キャロラインだけではなかったようだ。あまりに痺れる演説に、パーティ会場は呆けたように静まり返っている。
けれども。
「聖女様、万歳!!!!」
感極まったように、ジーク王子が叫ぶ。それで皆、我に返った。
衝撃が過ぎれば、驚きは興奮に変わる。弾かれたように、ホールに集められた人々はわっと歓声を上げた。
「聖女様、万歳!!」
「万歳! 万歳! 万歳!!!!!」
熱に浮かされたように、ホールは拍手と大合唱の嵐。
その中で、キャロラインだけはあんぐりと口を開けたまま固まっていた。