「紳士淑女の皆様。今宵は、お集まりいただきまして誠にありがとうございます」

 ホールの最奥に到着したキャロラインは、王子と共に壇上に上がり、パーティの参加者に向けて首を垂れる。

 声を張り、堂々と皆に語り掛けるキャロラインに、談笑していた参加者たちも口を閉ざし、にこやかにそちらを見やる。十分自分に注目が集まったのを認識してから、キャロラインは顔を上げて微笑んだ。

「まずは今宵、皆さま共に喜び合えることに感謝いたしますわ。3年前のあの日、魔王復活の報せが届いてからというものの、私たちの頭上には常に灰色の雲が立ち込めていました。ですがようやく、私たちに一筋の光が差したのですもの」

 そうだ、いいぞ!と。何名かの若者が、答えて拳を振る。にこやかに手を振ってから、キャロラインはひらりと優雅に、アリギュラに手を差し出した。

「私たちの(ほまれ)にして希望。光の聖女、アリギュラ様ですわ!」

 キャロラインの一言が合図になっていたのだろう。高らかにラッパが響き渡り、祝福の音色を奏でた。同時に、籠を手に何名かの給仕が走り出てきて、中に入っている色とりどりの花々を空に舞わした。