「ありがたいお申し出ですが、生憎、『光の剣』はすでに私がお預かりしております。それにジーク殿下は、王太子として尊いお立場にあるお方。危険な第一線に出ていただくわけにはいきません。ここは、いち神官にすぎない、私めにお任せいただけますか?」

「いや。民が王国を守るために闘っているときに、王家の生まれという理由だけで、自分だけ安全なところに引き下がるつもりは、私にないよ。それに神官である君より、私のほうが剣の扱いは長けていると思うけれど?」

「何を仰いますか。それを言うなら、聖女様から()()()()する魔力は、一級神官である私こそうまく扱えると存じますが?」

 ばちばちばちぃ!と。見えない火花が、目の前で散っている気がする。よくわらかないが、急にジーク王子と睨みあいを始めてしまったメリフェトスに、アリギュラはこそりと囁いた。