「まったくです。ですがアリギュラ様。此度の宴、我が君もご興味を持たれる内容かと」
「どういうことじゃ?」
「開かれるのはアルデール城ですが、資金の出どころは王家ではなくダーシー家。実質、ダーシー家が主催の宴と思われます」
つまり、と。一度言葉を区切って、メリフェトスはアリギュラを見た。
「此度の宴は、悪役令嬢キャロライン・ダーシーからの、我が君に宛てた挑戦状である可能性が高い。そうは、思いませぬか」
「……なるほど。そういうことか」
にやりと、アリギュラは笑った。先日の、尻切れトンボで終わってしまった会話を思い出す。わざわざ向こうから声を掛けてくれたということは、今度は途中で逃げ出すこともあるまい。それでこそ、アリギュラも思う存分に楽しめるというものだ。
「そうか。そうか、そうか! 楽しみじゃ。わらわは、友に会える日が待ち遠しい」
アリギュラは声を弾ませ、ソファの上にぱふんと横になる。やれやれと首を振るメリフェトスをよそに、アリギュラは赤い舌で唇を舐めた。
「なあ、キャロライン。おぬしと、一体なにをして遊ぼうか?」