「では、アリギュラ様! 日々ジーク王子から届く、あの貢物の数々は、一体どのようにお考えで?」
「何を言い出すかと思えば」
示されたギフトボックスを、アリギュラは渋々眺める。それらはメリフェトスが言う通り、ジーク王子から贈られたものだ。中にはこの世界で着るのに適した服だとか、ここエルノア国で人気の菓子だとかが入っていた。
呆れて嘆息し、アリギュラは答えた。
「どうもなにも、王国から聖女への貢物であろう? わらわは世界を救う賓客じゃ。尊い上客じゃ。これぐらいの貢物、あって当然じゃ」
「それだけなら、国王名義で届けられるはずです。ですが、これらの送り主はすべてジーク王子。加えて、宝石や工芸品と言った、明らかに生活必需品ではない品々に関しては、どのように説明をつけるおつもりですか?」
「それはあれだろう。王国の末永い繁栄のため、敢えて世継ぎの顔を立てたのだろう。それに宝石も、ちっとも不思議ではあるまい。なにせ、わらわは先日、ひとりで魔獣の大群を蹴散らしたのだ。それほどの功績をあげた者に、石のひとつや二つケチってどうする」
すらすらと答えるアリギュラを、珍妙なものを見るような目でメリフェトスが見つめる。ややあって、彼は指通りの良さそうなヘーゼルナッツ色の髪を、ぐちゃぐちゃと掻いた。