「お互いに知らない者同士のほうが良いかとも思ったのですが……。せっかく秘密を打ち明けあったですもの。お名前を教えてくださらない? 私、あなたとはもっともっと、仲良くなれる気がいたしますの」

「わらわも同じことを考えておったぞ!」

 声を弾ませて、アリギュラは頷く。この縦ロール娘とは、妙に気が合う。異世界の人間などどうでもいいと思っていたが、この娘は別だ。こんなに話が合うのであれば、これからももっと親しくなりたい。

 そう思って、アリギュラは口を開きかけた。

「改めて、よろしくだ。わらわは、あり…………」

「こんなところにいらしたのですか、アリギュラ様」

 頭の上から降ってきた声に、アリギュラも娘も飛び上がった。

 ぎょっとして振り返れば、すぐ後ろに、呆れた顔でこちらを見下ろすメリフェトスの姿があった。

 声を裏返して、アリギュラは悲鳴を上げた。

「め、めり、メリフェトス!? おぬし、ここで何をしておる!?!?」

「我が君を探していたのですよ。ほかの神官どもが、一向にあなたを捕まえられないなどとほざくものですから」

「っ、司令塔自ら動くものがあるか!」

「我が君も、アーク・ゴルドで散々自由に動き回っていたでしょうが、っと!」