「だれ?」



「3年の雨宮万里先輩。
 紫髪のデカい人。千柳さんは知らない?」


「もちろん知っているよ」


 全生徒の顔と名前は、
 覚えているからね。




 雨宮君って……確か……

「『学園一、悪カッコいい』って、
 女の子たちが騒いでいる子だよね?」


「あの先輩、ムダに吠えるし。
 ムダにイケメンなんだよね」



 あれ?
 雨宮君と雪那って、知り合いだった?



 この学園は、学年ごとに校舎が違うし。
 昇降口だって別。



 今まで雪那の口から、
 雨宮君の名前すら
 聞いたことなかったのに……



「千柳さんが、オーラとか
 意味わかんないことを言ってるから。
 万里先輩に取られちゃうんだよ」



 ………………へ?



「取られるって……?」


「せっちゃんのこと!!」

 


 予想もしなかった衝撃が
 俺の頭にガツン。



 隕石が頭に落ちてきたのかと
 心配になるほど、
 俺の頭が机に叩きつけられた。