今年の4月。俺の誕生日。


 俺は父さんから
 京見が丘学園の理事長を引き継いだ。



 今日から2学期がスタート。



「全校集会で壇上に上がるんだった、俺」


「壇上の上から、千柳は
 真っ先に雪那ちゃんを探しちゃうんだろ?」


「だって……
 俺を見上げる雪那が、可愛すぎだから……」



 俺が、壇上で話すたび

 胸まで伸びた髪が揺れるほど、
 雪那は、俺の話しにウンウン頷いてくれて。



 話し終わったら、
 誰よりも思いっきり拍手してくれる。


 


 ふにゃっと笑った顔が、
 俺だけを見つめてくれていると思うと

 幸せ色の血液が
 俺の体中をめぐりだして。



 幸福の池に心がぷかぷか浮きながら
 日向ぼっこしているみたいに、
 温かくなって。


 俺の顔が、勝手にほころんでいって。



 それから、それから……