「氷牙、コーヒー淹れてくれる?」


「朝っぱらから、俺をこき使うつもりかよ?」


「俺の迷惑料も上乗せして、
 氷牙に給料を払っているつもりだけど」


「時間外手当も、きっちりもらうからな」




 俺に文句を言う割に
 手際よくコーヒーを準備する氷牙。



 俺と同じ20歳で
 物心つく前からの幼なじみ。



 綺月と俺と3人で
 『ゾルック』というグループで
 アイドルをやっていて。

 昼間は
 俺の秘書として働いてくれている。





「千柳がここに引っ越してくるの、
 今日の午後じゃなかったか?」


「そうだった? 手帳には朝6時って……」


「そんな迷惑な約束、
 俺はしてないからな!」




 眼鏡越しに、俺を睨まないでよ。
 

 俺、褒められて
 スキップするタイプなんだから。