「もちろんだよ。
 天音は、俺の大事な人だからね」


「それ、生まれつき?」


「え?」


「とろける様な美声で。
 ハチミツみたいに、
 甘い言葉を平気で吐けるのって。
 ある意味、才能だよね~」



「僕にはできないな」とぼやいて、
 天音はまた髪をいじり始めた。



 と思ったら……

 あれ?


 鏡に映る天音の頬が
 なぜか、赤みを帯びているような……



 鏡越しの天音と
 視線が絡んだかと思ったら

 天音は急にうつむき、口を開いた。



「僕がなんで
 せっちゃんを好きにならなかったか……
 千柳さんにわかる?」



 何?
 いきなりモジモジしはじめて。



 もしや天音って……

「俺のことが……好き??」


「は?
 千柳さんって、バカなの?」


 怒鳴るような完全否定。
 声、大きすぎ。耳が痛いよ。


 でも、勘違いさせる行動をとったのは、
 天音だからね。