「せっちゃんも、
 千柳さん色に染まるのが幸せみたいだから。
 僕はもう、
 おせっかいは言わないことにしたけどね」


「天音、どういう意味?」


「千柳さんは、わからなくていいよ」



「ちゃんと教えてよ~」と
 天音に文句をぶつけながら、
 笑っている自分にホッとする。




 天音のお陰で
 心の痛みが薄まってくれたことに、
 感謝が止まらない。




 そんな俺を見て。

「千柳さんの笑顔が戻ったところで、
 交換条件出しちゃおっかなぁ」


 イタズラ好きな小学生みたいに
 天音が悪っぽく微笑んだ。


 そして、ソファから立ち上がると、
 天音はメイクをする鏡の前に座った。




 え? 
 ハサミ持って、チョキチョキって。

 いきなり、どうしたの?