震えが止まらず、
 歌声が喉を通らなくて
 固まっている俺に。


「千柳、歌!!」


 マイクを通した
 マネージャーの怒鳴り声が飛んできた。




 ステージの上??


 あっ、そっか……


 俺、今……
 ライブのリハーサル中だった……




 同じステージに立つ
 綺月と氷牙の歌声が耳に刺さる。



 俺も歌わなきゃ。踊らなきゃ。



 焦れば焦るほど、俺の意志が
 体全体に拒絶されて。


 震える体をさすりながら
 その場に立ちつくすことしかできない。




「いったん、曲を止めてください」


 音響ブースに駆け寄るマネージャーの指示で、

 ステージに鳴り響いていた音楽が
 強制的にブツリと切られた。