「この子、自分が誰とかわからないらしくて。父さんのところへ連れて行かないと」

リオンくんはそう言い、僕に「行こう」と笑って手を引いていく。僕は心配になり、男の子たちの方をチラリと見た。しかし、みんな「わかった!また学校でな」と言っていたのでホッとする。

リオンくんは、森の中で家族と暮らしているらしい。僕を不安にさせないためか、たくさん話しかけてくれた。

「僕のお父さんは、悪いことを調べるお仕事をしてるんだ」

「それは警察官ということですか?」

「ううん、警察官じゃないんだって」

「なら、犯罪心理学者とかですか?」

僕が質問を返すと、リオンくんは頭にクエスチョンマークを浮かべる。そうだ、この歳の子どもに犯罪心理学者とかいう仕事がわかるはずがない。またやっちゃったなぁ。

その後、リオンくんはこの世界は魔法使いや魔女が住む世界なのだと教えてくれた。本当に僕は異世界転生をしちゃったんだ。