リオンくんは自己紹介をしてくれたけど、僕はこの世界のことなんて何も知らない。だから「ごめんなさい」と謝った。

「僕は、何もわからないんです。名前も、自分がどうしてここにいるのかも……。ただ気が付いたらここにいました。申し訳ありませんが、この世界のことについて教えていただけませんか?」

リオンくんに訊ねた後、僕は自分の容姿が今は幼児であることを思い出す。つい生きていた頃の癖で敬語を使ってしまった。リオンくんは目の前でどこか不思議そうな顔をしている。ああ、やっちゃった……。

「リオ〜ン!何やってんだよ!」

「ボール遊びの続きしようぜ」

他の男の子ただの声がする。リオンくんは、僕の声を聞いてボール遊びを抜けてここまで来てくれたのかもしれない。僕は、「わざわざ来ていただき、ありがとうございます」と深く頭を下げてしまう。とにかく謝る、小説家になった時から自分に叩き込んでいたため、癖が抜けない。

リオンくんは僕と男の子たちを交互に見つめた後、男の子たちに「ごめん。今日はもう帰るね」と言い僕の手を取った。