僕が目を開けると、そこにあったのは可愛らしい女の子の部屋だった。ピンクのカーテンにベッド、棚にはぬいぐるみが飾られている。

「ここは一体……」

異世界転生したばかりの時のことを思い出してしまう。僕はまた違う世界に来てしまって、今度は女の子に転生したのか?いや、ノワールは死んでなんかない。

アクセサリーが置かれたドレッサーの鏡を恐る恐る覗く。そこに映っていたのは、この部屋の持ち主らしい可愛い女の子ではなく、不安げに紫の瞳を揺らした僕だった。

「よかった……」

とりあえず、ノワールでいることにホッとする。そして次に、ここがどこなのかを探索してみることにした。

「まずはこの家が誰のものか調べないと……」

僕は失礼ながら部屋を一つ一つ見ていくことにした。最初に、この部屋の引き出しやクローゼットを開けてみる。

「ダメだな、手がかりが何もない……。この制服も見たことのないものだし」

僕はため息を吐き、クローゼットの中にある女の子が通っているのであろう学校の制服を見つめる。黄色のブレザーに大きなリボン、ウエストがキュッと締まったまるでアイドルのステージ衣装のようなものだ。