「ここが僕の家。お父さんとお母さんと一緒に暮らしているんだ」

三十分ほど森を歩き、リオンくんが足を止める。彼が指差す先には、木で作られた一階建ての家がある。三人で暮らすにはかなり大きな家だ。

「お父さん、お母さん、ただいま」

リオンくんがドアを開けると、赤いネクタイを結んだシャツに黒いズボンを履いた優しそうな男性と、アイビーグリーンの上品なワンピースを着た女性がソファに座って話をしているところだった。

「おかえり、リオン」

「おかえりなさい、リオン。その子は?」

リオンくんの両親が僕を見つめる。僕はペコリとお辞儀をした後、「ご迷惑をおかけして、すみません。実は僕は自分が誰なのかわからないんです」と答えた。子どもらしからぬ僕の言葉に、当然ながらリオンくんの両親は驚いていた。

「二人とも、外で遊んでなさい」

リオンくんのお母さんが言う。これから僕をどうするか、話し合いを二人でするみたいだ。僕はリオンくんに手を引かれ、再び外へ。