昼間だというのにカーテンが閉め切られ、薄暗い部屋。それほど広くないこの部屋の机には、電源のついたパソコンと「創作ノート」と油性ペンで書かれた水色のキャンパスノートがある。

様々な資料が床に散らばった綺麗とは言えない部屋の隅で、もう何ヶ月も手入れされていないボサボサの黒髪にブルーライトカットメガネをかけた男性が虚ろな目でスマホをいじっていた。その顔に以前はあれだけあった笑顔はない。

太宰修也(だざいしゅうや)、そう彼が検索するとインターネットのページがたくさん現れる。彼はその中の一つをタップし、中身を読み始めた。

『太宰修也とは、日本の小説家。高校生の頃に小説家の新人賞を受賞し、数々の名作を発表している。現在二十歳。しかし、数ヶ月前に作品の盗作疑惑が出ており、ファンからも疑惑の声が上がっている』

その文の下に書かれたコメント欄には、かつて男性ーーー修也のファンだった人たちの誹謗中傷であふれている。