「おれ、王女さまに恩返しがしたいけど。おれ――、加藤さんの状況も…わかる、し」
 うんうん。ここはおれがあきらめる。
 おれが無神経だった。
 おまえは悪くない。
「あのひとのそばに王女さんがいるんだな?」
 ぶん! と音がしそうな勢いで顔を上げた町田がうなづく「はい」
「そんで、王女さんは、あのひとのために、おまえに頼みごとをしてるんだな?」
「いえ、おれにじゃなくて、加藤さんにです」
 そこはこの際どうでもいい。
「王女さんがあっちにいるなら、おまえ行って聞いてやれ。おれはまぁ、待っててやるよ。まだ飯の途中だし」
「…………」
 町田はナイス判断なおれの提案を、ぱちぱちと瞬きしながら聞いて。
 ゆっくりと眉尻を下げた。
 なんだ?
「あの、加藤さん」
 おう。
「おれは見えるだけで、王女さまとお話はできません」
 は、あぁぁぁぁぁ?
「マジかっ」
「…………」
「…………」 
「……言って…ませんでし…たっけ?」 
 ないわっ、ぼけ。
 この、役立たず!
 やっぱりおれは間違っていた。
 あてにするんじゃなかった。
 見えないものを見るやつなんて。