「そんなまじな顔しないでよ。冗談だから」

「なーんだ、そうだよね!あはは」


大げさに笑って手を叩く。

内心はらはらしていたけど、それは秘密だ。



鋭いといえばわたしのお母さん。

ただ意外なことにお母さんからはなにもいわれていない。

まあ家にいる分には正直なにも変わらないし、なにをしたかも覚えていないので普通なんだろう。


でもひとつだけ危ない日があった。

お父さんの誕生日。

誕生日って特別だからビーフシチューだったなと思ってついポロっといってしまったのだ。

まだお母さんが料理をする前に。