青々とした芝生に真っ白な壁。

ステンドグラスには日差しが降り注いで、まるでここだけ別世界みたい。


「……すげー」

「うん……すごい」


スマホの地図アプリに従って歩いてきた私たちは、目的地で思わず息を呑んだ。


車の音も喧騒も届かなくて、風の音だけがサワサワと静かに聞こえる。

窓の右側、光の差し込んだ小さな窓に目を凝らした。


「……あっ。美樹さんだ」

「嘘、どこだよ」

「ほらほら!右のあの窓!」


そこには真っ白なウェディングドレスを着た美樹さんが、幸せそうに立っている。

隣には、タキシードを着た男の人。


「綺麗……」

思わず言葉が漏れる。

「うん。キレー。
やっぱ、なんていうか……俺、美樹さんとなんか釣り合わねーな」

悲しそうに碧斗は笑う。



「よしっ。じゃあ帰るか」

そう声を掛けられるまで、私は一歩も動けなかった。