玄関で、少し汚れてきたローファーに足を入れる。
こんなに足が重いの、いつぶりだろ…
鞄が、肩に食い込む。
「……行ってきます」
ドアを開ける。
目の前に碧斗はいない。
色褪せた世界。
ゆっくりと歩き始める。
先週、ここで碧斗、小テストに気づいて焦ってたよね。
急にじゃんけんしたこともあったっけ。
目玉焼きに何をかけるか論争をしたのも、ここらへんだったよね。
「……あ、」
ここは、碧斗に告白をされた場所。
碧斗と二人、毎日歩いた大切な場所。
視界が滲む。
私は思わず下を向いた。
もう碧斗のいない生活なんて考えられない。
「……瑠奈」
「っ、碧斗…!」
なんで………