「……ちがう。芽吹さんは違うんだ。友達なんて言葉で括りたくないって思ってる。変なんだけどさ、本当に……芽吹さんとはおなじ世界を生きてるって、常に実感してたい。おれの汚い感情知ってるの、芽吹さんだけだから」
わたしもそうだ。それなのに、きみは自分のことを全然教えてくれないじゃないか。
星原くんと一緒にいたら安心するのに、同時に"わたしだけが負の感情を募らせている"とも思う。同じでいたいのに、わたしと星原くんは全然同じではない気がしているのだ。
「……この世界は、クソだからさ」
星原くんが口を開いた。
ぽつりと呟かれる声に神経を注ぐ。
「誰かと共有することでスッキリする話と 共有したところで何も変わらない話があるんだよね。おれと芽吹さんがしたのは、共有することで自分を許された気になれる、スッキリする方の話だった」
確かにその通りだった。
わたしを虐めている奴らはみんなゴミでクソで、人間のクズ。この世界は理不尽で出来ている、そう思っているのはわたしだけではないと安心する。あんな奴ら、早く消えてしまえばいいのに。
自分だけが抱えた感情では無いと知り、わたしは酷く安心したのだ。
同じ世界を生きている。星原くんはクラスメイトの誰とも違う、わたしの気持ちを理解してくれている。
ほっとして、強くなった気になれた。