「芽吹さんとのうわさなら、逆に嬉しいかも」
「…変な冗談だね」
「冗談じゃないよ。ちなみに、さっき言ったのも本当、」
「さっき？」
「や。その、さ」
星原くんの言葉を必死に思いだす。
なにか気まずい言葉を言われたんだっけ。
すると、わたしが思い返すよりも先に星原くんが答えをくれた。
「…、芽吹さんならしてもいい、ってやつ。芽吹さんが望むなら、おれは多分なんだってできる気がする」
ああ、そういえば言っていた。わたしとならセックスできるって、星原くんの口からそんな言葉が出るとは思わずすこし驚いたのだ。
星原んはよくわからない。
きみはわたしを友達ではないというくせに、わたしのためならなんでもできるという。わたしはずっときみとの関係性に名前がほしいのに、星原くんは肝心なところばかり濁すのだ。
1週間休んでいたはずの彼が突然現れたことも、冷静になるにつれて不可解であることを思いだす。
「…、わたし、星原くんのこと何にもしらない」
「…え？」
「どうしてあの日以来ずっと学校に来てなかったの？わたしのことは死ねって思わないの？友達じゃないなら、わたしたちって、なんなのかな」
星原くんは、いったい何を背負って生きているのだろう。
