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「……あれで、良かったのかな」
旧校舎の空き教室。シンとした空気にわたしの声が響く。「さぁ、どうだろ」と、星原くんからは感情の読み取れない返事が返ってきた。
「芽吹さんはどう思ってる?あれで良かったって思う?」
「わたしは……、」
「おれは思ってる。あいつらのこと嫌いだから、ざまぁみろって今もずっと思ってるよ。復讐なんて言い方、多分本当は芽吹さんがするものかもしれないけど。でもおれは、山岸も滝口も泣いて逃げてったああの女子たちも嫌いだから。ああいうのがいるから世界は歪んでく」
つい数分前、わたしも星原くんも山岸さんに対して散々な言葉を吐き散らかしてしまった。彼女は泣いていた。人の心がまるでないと思っていたから、その件に関してら少しだけ意外だった。
山岸さんと下手に下校時刻が被るのも嫌だったので、わたしたちは一度ここに避難してきたのだった。
ひとまず様子見梅雨のじめじめとした天気に左右され、木製の机は心做しか湿っていた。