「あんたの家、少し前に父親再婚したんだってな。あんたは、相手の子供の方が愛されてて自分の需要を失いつつあった。そんな時に芽吹さんがおれの隣の席になって、嫉妬に変わった。"何でも持っててズルい、あたしには何もない"って、カワイソーな自分から逃げたかった?友達がいなくて助けを求める相手がいない芽吹さんを見て"カワイソー"って思いたかったんじゃないの」



山岸さんの瞳の色が変わる。彼に対して少しの恐怖を感じてることだけが、何となく伝わってきた。




「ゴミみたいなあんたにだって一応友達がいたみたいだけど。残念ながら、それはさっきあんたが自分の手で切った。滝口も同じようなもんだよね、所詮セフレだから」

「なに、なんで、なんで…っ」

「なんで知ってんのって?情報集めなんてさ、嫌いな奴に復讐するための基本だよ」



​目の前にいる彼は、きっと山岸さんたちが知っていた星原くんではない。わたしがよく知る方の、まっくろな心を持った星原くんだ。


容赦なく山岸さんの心に畳みかけている。

彼女のことを可哀想だとは思わなかった。ざまあみろ、そんなことを心の奥底で思った。