「…あ。星原くん、もしかしてストーカーされてるとかそういうこと?だって今までも、2人が仲良さげにしてるとこなんか見たことなかったし。実際、あたしとか滝口が芽吹になにかしてても黙認だったもんね?ね、ほんとは隣の席になるのもやだったんじゃない?セックスだって、芽吹ぜったい下手そうだしぃ。なあんだ、そういうことならあたしたちに言ってくれたらよかったのに。星原くんが望むなら、こいつのことどんな方法使っても排除してあげられた」
山岸さんの口は止まることを知らない。
次から次へと言葉が出てきては雑言を吐き散らす。人の心がまるでない。勝手な憶測でわたしはストーカーにされているし、わたしと星原くんの間に肉体関係があったと勘違いもされている。
「…はーあ、面白いね、その思考」
山岸さんの言葉に、彼はそう言ってククッと肩を揺らして笑った。
何がおかしいのかわからない、そう言いたげな瞳で山岸さんは眉をひそめている。
わたしも、星原くんが笑っている理由はいまいちよくわかっていなかった。
星原くんが ふー…と小さく息を吐く。
───それから、
「ほんっと、可哀想で同情するよ、あんたには」
低い声でそう言ったのだった。