全部男女の話にもっていかないと気が済まないのだろうか。自分は求められているとでも思っているのか。
山岸さんに相手がいるとしたら、それは十中八九滝口くんだ。
彼等と同じ世界を生きているだけで吐き気がした。
「なにぼーっとしてんの?早く、土下座しろっつうの。ああ、ほら。あんたたちも手伝いなさいよ」
「っ、あ…、」
「どうせ、あたしに言われないとなんにもできないんだから」
散々人に言っておいて、本当に友達がいないのはどっちだといいたかった。
かつて友達として過ごしてきたはずのクラスメイトをクズ呼ばわりだ。うわべにもほどがある。
命令された彼女たちは、床に転ぶわたしと、正気とは言えない山岸さんを交互に見てごくりと喉を鳴らしている。
自分たちを友達と思っていない山岸さんのお願いを聞くことの複雑さと、断ったらわたしみたいになるという恐怖にさいなまれているのだろう。
くだらない、と心の中で悪態をついた。