「顔が良いからって何よ!何されても動じない自分がかっこいいとでも思ってんの!?あんたの全部がむかつくのよ!なんなのっ、なんなのよぉ…っ!!」
わたしと山岸さん、それからいつも彼女の後ろについて回るクラスメイトが2人。教室に残されたのはそれだけだった。
山岸さんは泣いているのか怒っているのかわからない。そのうち窓から身をなげうってしまいそうなほど、彼女は取り乱していた。
大きく息を吸って呼吸を整えた彼女に、今度は胸倉をつかまれ、ぐいっと引っ張られる。
一番上までしめたボタンが苦しくて、明日からは第一ボタンは外しておこうと、そんなことを考えた。
「……土下座しろよ」
「…、は」
そんなわたしに掛けられた声は、今まで聞いた中で一番低かった。ぱちぱちと瞬きをすると、「だからぁ!」と山岸さんが声を荒げた。
「あたしに謝れって言ってんの。ここで、今、土下座して謝れ」