ただ――、体調が悪い時、人とは得てしてネガティブになるもので。

(もし、これでもおじさまに褒めてもらえなかったら……? もしかしてわたし、やっぱりおじさまに迷惑がられてる?)

 少なからず、愛美には自覚があった。
 考えてみたら、勉強に関することはほとんど手紙に書いたことがない。身の回りに嬉しい出来事や何かの変化があるたびに、手紙を出しては彼を困らせているのかもしれない。
 最初に「返事はもらえない」と、聡美園長から聞かされていたのに……。

(わたしって、おじさまにとっては迷惑な〝構ってちゃん〟なのかも)

「――愛美、どした? 具合悪いの?」

 一人で黙って考え込んでいたら、さやかが心配そうに顔色を覗き込んでいる。

「ううん、平気……でもないか。わたし、ちょっと思ったんだよね」

「ん? 何を?」

「おじさまは、いつもわたしの出した手紙、ちゃんと読んでくれてるのかな……って。もしかしたらうっとうしくて、読みもしないでゴミ箱に直行してるんじゃないか、って」

 こういう時には、最悪の展開しか思い浮かばなくなる。

「秘書の人からは返事来てたけど、おじさまからは一回も来てないんだよ? もしかしたら、秘書の人は読んでくれてても、おじさまは読もうともしてないとか――」

「……愛美、怒るよ」

 愛美のあまりのネガティブさに、さすがのさやかも見かねたらしい。眉を吊り上げ、静かに愛美のネガティブ発言を遮った。

「おじさまは、あんたの一番の味方のはずでしょ? あんたが信じてあげなくてどうすんのよ? 大丈夫だって! おじさまはちゃんと、愛美の手紙読んでくれてるよ! んでもって、一通ももれなくファイルしてあるよ、きっと!」

「ファイル……って」

 最後の一言に、愛美は唖然(あぜん)とした。いくら小説家志望の彼女も、そこまでの発想はなかったらしい。