おやきの種類は、あずきとポテトサラダをチョイス。

 審査員らが物珍しそうに割って、中身を確認してからそれぞれ味わい始めた。

「ポテトサラダというのは、マッシュポテトのようなものか。コーンと人参と……グリーンピースが混ざっているな。いいアクセントになっている」

「甘さと塩っ気が丁度いいバランスねぇ。おやきの皮ももちもちしていて美味しいわ」

「ほう、あずきもこんなに甘く食べれるのか。うむ、舌触りも良いな」

 各審査員が舌鼓を打ち、ザックがそっと胸を撫で下ろすのを見てアーシェリアスは微笑んだ。

 そして、いよいよアーシェリアスの番がやってきた。

 緊張に鼓動を高鳴らすアーシェリアスが手掛けたのは『和風おろしハンバーグ』。

 オムライスとおやき同様、ハンバーグもファーレンには珍しい料理といえる。

 ただ、ミートボールはあるため、ハンバーグではインパクトが薄い。

 そこで考えたのが和風だった。

(ミートボールはトマトソースで煮込むことが多いから、醤油ベースのタレなら斬新になるはず!)

 大根おろしもファーレンにはない食べ方となる。

 審査員たちが、醤油タレを大きなハンバーグに乗せた大根おろしの上からたっぷりとかけた。

 ナイフとフォークで切り取り、審査員の口に運ばれていく。

「こんがりと焼き上がった肉はジューシー。タレはあっさりしていてなんとヘルシーな」

「ほう、すり下ろされた大根と肉がこんなに合うとは思わなかった。いや、タレが決め手か?」

「大根の風味があっていいわねぇ。ハンバーグを割った時に出てきた肉汁のこってりさを柔らかくしてくれて私は好きよ」

 なかなかの好感触に、アーシェリアスはほっと息を吐く。