優雅と私は晴れて恋人同士となった。
結ばれた翌日には荷物抱えて優雅の部屋に押しかけ、現在は同棲中。

収まるところにすっぽり収まってしまって恥ずかしいような気もするけれど、両親は喜んでいるし、幼馴染の真由乃もお祝いしてくれた。
優雅のお父様のお墓参りと、お兄さんとの対面はもう少し仕事が落ち着いてからと相談している。

対外的に婚約者として発表するのも、この仕事が終わってからになる。
しかし、社内の人間は私と優雅が結婚し、未来のKODO開発の中心となることになんの疑いも持っていないようだ。おそらく婚約を公にしても、多くの社員は「え? 今までは婚約していなかったんですか?」となること請け合いだ。

職場では断じて親しくしていない。立場ある人間が、イチャイチャしてたら示しがつかないじゃない。
けれど、優雅の私への忠誠と熱い視線は、周囲に色々感じさせるものがあるらしい。

そう、両想いになってからの優雅は、つねに愛情駄々漏れ状態なのだ。私は以前にまして、お姫様のように尊重され、かしずかれている。
まあ実際、ふたりきりのときは『お姫様扱い』にもうちょっとエッセンスがプラスされるんだけど……。

優雅はお兄さんの会社である榮西グループには戻らないとあらためて宣言した。KODO開発に骨を埋めると言っている。
お兄さんの仕事は、今後もひっそり手伝っていく予定だそうだ。なにやら、大きな企業は裏で動かなければならないことも多い様子。
うーん、やっぱりまだ謎のある男。私の前では素直な可愛い恋人だからいいんだけれど。