真由乃が届いたセットサラダを口に運びつつ、うふふと笑った。
「なんでも、本社ではすでに仲睦まじく同じチームでお仕事をしてるとか? 愛菜のリーダーシップも噂になってるけど、その愛菜を支える左門さんはお姫様に仕える騎士みたいだって」
「なんつう噂よ、それ」
確かに私も優雅にはお姫様扱いされている気がするけれど、周りから見てもそうなのね。本社に近いから、支配人や総務部長が、よく本社に来てるものなあ。噂の出所はそのあたりかな。
「愛菜自身、婚約は嫌なの?左門さん、すごくイケメンなのに」
「イケメンかもしれないけど、昔からあの人のことがちょっと苦手っていうか……。何を考えてるか、全然わからないの。そんな人と結婚できる?」
「でも、社長への忠誠心はすごいって社員はみんな言ってるよ。愛菜のことも大事にしてくれるんでしょう?」
「ん~、だから極端な話、私と結婚しなくていいのよ。私は社長になりたくて戻ってきたわけじゃないし、父が信頼する人間に会社を譲ってもいい。場合によっては、左門優雅が父と養子縁組して、うちを継いでもらってもいいわけで」
そうだ。自分で言って、その案は有りだと思う。彼もきっと、障害なくすんなり社長の座が手に入る道ができれば、強いて私と結婚しようとは思わないはずだ。これは父と優雅、それぞれに提案してみる価値がある。
「私は、愛菜と左門さんが結婚して、ふたりでKODO開発を守ってくれたら、嬉しいなあ」
真由乃が言う。
「お給料もボーナスもいい。福利厚生もばっちり。私、KODOで定年まで働きたいから、変な人が社長だと困るのよ。愛菜なら安心」
「自分都合じゃない」
私は嘆息するけれど、いち社員の気持ちとしてはそうだろうなあと考えた。安定が一番だものね。
「なんでも、本社ではすでに仲睦まじく同じチームでお仕事をしてるとか? 愛菜のリーダーシップも噂になってるけど、その愛菜を支える左門さんはお姫様に仕える騎士みたいだって」
「なんつう噂よ、それ」
確かに私も優雅にはお姫様扱いされている気がするけれど、周りから見てもそうなのね。本社に近いから、支配人や総務部長が、よく本社に来てるものなあ。噂の出所はそのあたりかな。
「愛菜自身、婚約は嫌なの?左門さん、すごくイケメンなのに」
「イケメンかもしれないけど、昔からあの人のことがちょっと苦手っていうか……。何を考えてるか、全然わからないの。そんな人と結婚できる?」
「でも、社長への忠誠心はすごいって社員はみんな言ってるよ。愛菜のことも大事にしてくれるんでしょう?」
「ん~、だから極端な話、私と結婚しなくていいのよ。私は社長になりたくて戻ってきたわけじゃないし、父が信頼する人間に会社を譲ってもいい。場合によっては、左門優雅が父と養子縁組して、うちを継いでもらってもいいわけで」
そうだ。自分で言って、その案は有りだと思う。彼もきっと、障害なくすんなり社長の座が手に入る道ができれば、強いて私と結婚しようとは思わないはずだ。これは父と優雅、それぞれに提案してみる価値がある。
「私は、愛菜と左門さんが結婚して、ふたりでKODO開発を守ってくれたら、嬉しいなあ」
真由乃が言う。
「お給料もボーナスもいい。福利厚生もばっちり。私、KODOで定年まで働きたいから、変な人が社長だと困るのよ。愛菜なら安心」
「自分都合じゃない」
私は嘆息するけれど、いち社員の気持ちとしてはそうだろうなあと考えた。安定が一番だものね。