翌日、同じく朝一番でミーティングがあった。これは優雅が設定していたミーティング。しばらくは、私への説明を兼ねて毎朝やるようだ。
バスで出社し、きちっとミーティングに参加する私。

「では、昨日の続きですが、施工の状況を」

横で優雅が仕切り始めようとしたとき、私はそれを手で制し、立ち上がった。

「担当は山口さんでしたね。施工スケジュールの変更をキシダ建設に依頼しているはずですが、どうでしょう」

私は担当の男性を見据えて言った。山口という担当はまさか私に名指しされると思わなかったようで、おどおどと立ち上がった。

「はい、……輸入部材の入荷遅延を理由に、こちらの希望は断られています……」
「同じ部材をコウダ木材が輸入しています。キシダ建設とは付き合いがあったはず。コウダ木材との原価交渉を含めて、早急に対応してください」

私の指示に担当はもごもごと言い淀む。

「ですが……ええと」
「古道で結構です」
「古道リーダー……それではキシダ建設の面子を潰します。うちがコウダ木材と取り決めた内容で進めてしまえば。キシダ建設とは、先代社長から懇意な間柄ですし、あまり無茶なことは」

古い企業同士のなれ合いもあるだろう。私は心の中だけでため息をつき、厳然と答えた。

「キシダ建設は吉住興産の案件を優先して在庫充当しています。こちらが先に発注をかけているにも関わらず、そういった対応なのは吉住興産の方が利益が出るのでしょう。キシダ建設が面子を盾にするなら、この件をちらつかせましょう。場合によっては、私と左門が出ます」