「愛菜さん、早速ですが、ミーティングです。こちらへ」
優雅が声をかけてくる。私は与えられたデスクにバッグを置き、タブレット片手に会議室へ向かった。
チームのメンバーは十五名。挨拶の後、全員の顔と名前と、手掛けている内容を聞いた。しかし、その後はずっとお客さん状態だった。優雅は、ここまでの進捗を私のために各担当に説明させ、注釈を挟みながら進行する。
私は天才じゃない。努力しているだけ。ゆえに、新しい業種のやったことない仕事の話をされても正直ちんぷんかんぷん。でも、私だってのんびりしているわけにはいかない。何もしないでリーダーって呼ばれることほど恥ずかしいことはないもの。
「少しいいですか?」
ミーティング後、私は優雅を呼び止めた。
「なんでしょう、愛菜さん」
「昨年、M市に開業したうちのホテルのデータがほしいの」
「データベースをお教えします。僕もサブで企画チームに入っていたのでご不明点はお答えできますよ」
「欲しい情報は追って聞きます。今日は、少し社内の空気になれたいので、勉強しながらゆっくりやらせてもらいます」
「もちろんです。愛菜さんのやりやすいように」
まずは諸々の手続きを総務と済ませ、自分のデスクに戻る頃には、優雅は外出していた。丁寧に外出先や打ち合わせ予定の内容、そして頼んでおいたデータベースと資料庫についての説明がメールされてある。ふむふむ、いいぞ。
今日のところは、私はまだ空気だ。存在感はあっても、仕事の役には立たない。このままで終わらせてたまるものですか。
私はジャケットを脱ぎ、シャツの腕まくりをした。
優雅が声をかけてくる。私は与えられたデスクにバッグを置き、タブレット片手に会議室へ向かった。
チームのメンバーは十五名。挨拶の後、全員の顔と名前と、手掛けている内容を聞いた。しかし、その後はずっとお客さん状態だった。優雅は、ここまでの進捗を私のために各担当に説明させ、注釈を挟みながら進行する。
私は天才じゃない。努力しているだけ。ゆえに、新しい業種のやったことない仕事の話をされても正直ちんぷんかんぷん。でも、私だってのんびりしているわけにはいかない。何もしないでリーダーって呼ばれることほど恥ずかしいことはないもの。
「少しいいですか?」
ミーティング後、私は優雅を呼び止めた。
「なんでしょう、愛菜さん」
「昨年、M市に開業したうちのホテルのデータがほしいの」
「データベースをお教えします。僕もサブで企画チームに入っていたのでご不明点はお答えできますよ」
「欲しい情報は追って聞きます。今日は、少し社内の空気になれたいので、勉強しながらゆっくりやらせてもらいます」
「もちろんです。愛菜さんのやりやすいように」
まずは諸々の手続きを総務と済ませ、自分のデスクに戻る頃には、優雅は外出していた。丁寧に外出先や打ち合わせ予定の内容、そして頼んでおいたデータベースと資料庫についての説明がメールされてある。ふむふむ、いいぞ。
今日のところは、私はまだ空気だ。存在感はあっても、仕事の役には立たない。このままで終わらせてたまるものですか。
私はジャケットを脱ぎ、シャツの腕まくりをした。