(今日一日が何事もなく終わって欲しい。

今日さえなにもなければ、私のしたことはバレないと思うから。

木村菜々子は不幸な思いをしたけど、できるだけそのことは考えないよいにしておこう。

だって悪いのは私じゃない……。

悪いのは浜中美澄だ)


考えれば考えるほど、私は憂うつになり、不安が募った。


もうこの場から逃げ去りたい。


私がそんなことを思っていたとき、誰かが後ろから私の肩をポンと叩いた。


「おはよう、咲良。

今日は教室内が騒がしいね」


私は急に肩を叩かれたことにドキドキしていたけど、私の肩を叩いたのが優子だとわかってホッとしていた。


誰かが私の罪を糾弾しにきたわけではない。


いつもと同じような朝が今日もやってきただけなのだ。


私は振り返って優子を見ると、少しぎこちなく笑って、優子に言葉を返していた。


「お、おはよう、優子。

そうだね。

今日は教室内が騒がしいね」


私の声がいつもと違って震えていた。


私はそのことを優子に気づかれないかと、ドキドキしていた。