「……幼い大輝に言うのもおかしい話かもしれない。でも俺は、ずっと側にいることができないから。」
「いつまでも隣にいて、美鈴と春太のこと頼むな。」
今は亡き、美鈴と春太の父親から言われた言葉。
俺が7歳の時に、病気で他界したおじさんから、足枷(あしかせ)のように色濃く心に刻み込まれた言葉。
今思えば酷な話だ。
何も知らないも同然な小学一年生に、娘と息子をよろしく頼む、なんてさ。
でもその頃は幼いながらに、いや、幼いからこそ。
ひとりの人間として接してくれたおじさんの言葉は嬉しくて、心に温かさを与えてくれた。