「今日の日直は本田と真島〜」


担任のその一言から学校が始まった。


(……気まずいな…)


私のクラスの担任は雑用を頼む量がエゲツない。日直は名簿順に2人ずつがこのクラスの決まりだ。

他のクラスと比べて、単純に計算すると倍くらいの速度で回ってくる。


「…………」


告白されて24時間も満たない今。

後ろの席の智樹と話せていない。


「配布物配るぞ〜」


連絡事項が記されたプリント。

早速、智樹と顔を合わせる機会だ。


『日直よろしくね!』くらいの一言を言おう。


緊張しながら前の席から送られてきたプリントを受け取った。

そして振り向いて…。


「はい…」


たったの一言。


(私のバカー!!!)


気まずさ全開。
誰がどう見たって気にしてるって顔に書いてあるような素振りをしてしまった。


「………」


ぎこちない動きで項垂れながら、智樹がプリントを受け取ってくれるのを待つ。この地味な数秒がものすごく長く感じた。


「……美鈴」

「っ…!なっなに?」

「気遣わせてごめんな? 日直よろしく」


耳元でコソッと、柔らかい笑みで智樹は言う。


「………うん。ありがとう。」


お礼を言うのは違うかもしれない。でも自然と口をついて出た。

失いたくない大切な友達だからこそ、私は変わらずの智樹の笑顔にホッと胸を撫で下ろした。