昔からそう。
美鈴が悩んでいたら、一緒に悩みたいって思う。
落ち込んでいたら、話を聞いて心を軽くしてやりたいって思う。
ずっと、『幼馴染として』なんて決まり文句を並べていたけれど…。
「こっち向けよ…」
振り返れば羞恥心でいっぱいな表情だった。そしてその顔に涙を浮かべながら俺を見つめる。
「………」
やばいな。
「キス…しよ…」
嗜虐心(しぎゃくしん)が煽られる。
もっと恥ずかしがる美鈴を見たいと思う。
どんな風に感じて、どんな風に乱れるのか、知りたいと思ってしまう。
独占欲みたいなものが沸々(ふつふつ)と湧き上がって、自分の欲を満たしたくなった。
深い口付けを交わしていると、段々と甘くなっていく反応に可愛らしさを覚えて……。
「……悩み事、言う気になったか…?」
歯止めが効かなくなる前に、当初の目的を達成するべくして声をかけた。
「………大ちゃんが聞いても…あまり嬉しくない話だもん…」
「…………もしかして告白された?」
「っ……」
あぁ。図星だ。
なんとなくそんな気はした。というか、たまたま放課後にめちゃくちゃ落ち込んでる智樹を校舎内で見かけて、薄々予感していた。
「別に気にしない。」
「なんで…。気分悪くなるでしょ…?普通」
普通ならきっとそうなんだと思う。
でも。
「………美鈴が他の奴にドキドキする暇がないくらい……俺のこと好きにさせれば良い話だろ…?」
幼馴染から発展した関係になって、まだ少しだけど…。
「………自信過剰でヒいたか?」
「ううん。好き。」
美鈴が俺に依存している状態は、きっと、ずっと変わらないんだと思う。